佐々き み菜 個展 SASAKI Mina solo exhibition 冥護の抱擁 Embracement of Secret Blessing 2021年3月23日(火)から28日(日) 12:00から18:00 KUNST ARZT では、佐々きみ菜の個展を開催します。 佐々きみ菜は、「うまれ」や「祈り」、「生と死」をテーマに、 4つの表現プロセス(*)を実践するアーティストです。 ファイバーで構築するオブジェは生命体のようであり、 空間構成の際、照明によって壁面に生み出される陰影は、 とても印象的です。また、それをさらに衣類へと再構成し、 纏ってパフォーマンスすることで、テーマを追求してきました。 「信濃の国 原始感覚美術祭」に4年連続で参加し、 ミレーによる名作絵画『オフィーリア』を彷彿させるかの ような湖に満開となった睡蓮の花を背景に、 作品を纏った美しいパフォーマンスが記録されました。 「生と死」を追求してきたアーティストの 一つの到達点のようにも思えます。ご注目ください。 (KUNST ARZT 岡本光博) *4つの表現プロセス 1.メイキング:繊維を素材に制作 2.インスタレーション:展示空間を作品として発表 3.コスチューム:衣服へと再構成 4.パフォーマンス:自らまとい身体表現する PRESS RELEASE SASAKI Mina (b. 1995, OSAKA) is a installation and performance artist. She graduated from the textile art course at the Seian University of Arts and Design. |
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個展「冥護の抱擁」展示風景 2021 |
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うまれの祈りシリーズ 2020 糸 900×1000 mm 長野県にある湖・木崎湖に向けたうまれの祈りを形にした。 糸を特殊加工しミシンでレース状の布をを制作した。 |
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展覧会コンセプト 小さなウイルスの蔓延により、私たち人間の社会では、 人と人の触れ合いが良いことではなくなってしまいました。 大切な人に会えたときも、決して近づき過ぎないように、 手と手が触れ合うことのないように 配慮して日々を送っています。 問題になっているウイルス以外の無害なウイルスも、 とにかく取り除き、無意識に存在を排除することで、 自分たちの営みをなんとか死守しようと、 まさに未知の戦いを続けている最中です。 ここで立ち止まって、自分の内側が 今求めている感覚を探ると、 湧き上がってくる身体感覚は、〈 抱擁 〉でした。 海を眺めている時だったり、 山からくる風が肌を撫でる時だったり、 陽の光を浴びている時だったり、 大きなものからの恵みを受けて包まれるような抱擁を、 私の身体は強く求めている、と、そのようなことを思います。 神さまや仏さまたちが、私たちの知らないところで 私たちに加護を与えてくれるように、 肌で触れることは叶わなくても、 包まれることで得られる安堵を私は形にしたいと思います。 そして多くの人にこの作品と光によって うまれる模様の影に触れてほしいです。 帰りたい時に帰りたい場所へ帰れなかった、すべての人へ捧げます。 In the pandemic of a microscopic virus, human contact is no longer conducive to society. When we meet those who are dear to us we must be careful never to get too close, and never to touch hands in our daily life. We work hard to remove any kind of virus, not only the one under focus at the moment but also harmless ones, unconsciously eliminating their existence in order to protect our activities ? it is part of a struggle against something unknowable. Stopping for a moment here, exploring the senses I had been seeking, the physical idea that sprung from within was ‘embrace’. Looking at the ocean, feeling the breeze from the mountain on my skin, being under the sun ? this embrace, wrapping me in a blessing from something grand, is what my body requires. That was my impression. Like the blessings of gods and Buddhas that come to us unknowingly, there is a relief I get in being held, despite physical contact being forbidden, and that is what I want to develop in my work. And I want people to experience the shadow of the patterns created by the work under light. I dedicate my work to everyone who could not return to where they wanted, when they wanted. |
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胎盤 2015 ウール 1000×800 mm 胎内回帰シリーズ。 二十歳に成長した自分の身長に合わせて、 綴れ織りで胎盤を制作した。 |
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アーティスト・ステートメント 本当のことが知りたいと、 小さな頃から心の中で呟いていました。 その想いは、熱をもって私の身体の中でじっとしています。 そして、中心から広がる波紋のように、胎動しています。 それは、顕微鏡で細胞の形を目にした時に 「人の手に及ばないものこそ、本物の美しさをもっている」 と感じた気持ちとも重なって、 今でも変わらずに身体の中で燃えています。 体内から発生するこの熱は、扱いを間違えると、 自分の身を痛めるような厄介なもので、 自分の手を動かし、何かを作り続けることで、 コントロールしてきました。 私の表現には、4つのプロセスがあります。 繊維を素材に制作すること、 展示空間を作品として発表すること、 衣服へと再構成すること、 自らまとい身体表現すること。 そうやって循環するサイクルの中で、 私は、「うまれ」や「祈り」、「生と死」について考えます。 日々の暮らしの中で私が認知する間も無く、 自分の細胞がうまれ、役目を果たして死んでいくこと。 私自身もそれらの細胞と同じように、 何かしらの役目を担って生き、いつの日か活動を終えます。 限られた時間の中でうまれる熱と共存しながら、 手を動かしてものをうみ、考え、披露し、 それをきっかけに人と出会うことまでを含めて、 自分の役目だと感じ、つくることを続けています。 “I want to know the truth” is what has echoed in my heart since my youth. The feeling resides in my body, a being bearing heat. It quickens the way a ripple spreads from the center. It overlaps with my sensation, seeing the outlines of cells under a microscope, that “what is beyond the limits of human control has a pure beauty,” and is still burning in my body to this day. This heat created in my body is a difficult thing that, if treated incorrectly, could hurt me. I have restrained it through the use of my hands and through ceaseless creation. My expression consists of four processes: Creating with fibers as material, Showing the exhibition space as a work, Reconstructing it into clothes, Wearing it to physically express myself. In this cycle I see “birth” and “prayer”, “life and death.” In ordinary life, before I am aware of it, cells are born, fulfill their purpose, and die. And I myself ? just like these cells ? live with some kind of purpose to fulfill, and someday I will reach the end. I coexist with the heat, in limited time, Using my hands to create, think and exhibit, And including encounters throughout this process I consider it to be my purpose, and I continue to create. |
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ははむすめ 2016 モール 2100×1200 mm 胎内回帰シリーズ。 大人1人が胎内に入れる大きさの母体を、 モールを使って制作した。 |
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経歴 1995年 大阪生まれ 2017年 成安造形大学空間デザイン領域 テキスタイルアートコース卒業 主な展覧会歴 2015年 2人展「胎内回帰」ピースギャラリーTANADA 2017年 個展「うまれの祈り」 MU東心斎橋画廊 2017-2020年 「信濃の国原始感覚美術祭」 長野県 2020年 「世界で一枚のシャツ展」ギャラリーサラ |
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