岩坂 佑史 個展 Iwasaka Yuji solo exhibition Schism 2022年7月19日(火)から24日(日) 12:00から18:00 KUNST ARZT では、2年ぶり2度目となる 岩坂佑史の個展を開催します。 岩坂佑史は、「生きている」ことをストイックに 視覚化してきたアーティストです。 本展では、小休止をはさみながらも 6年間継続している、アーティスト自身の尿を 和紙に塗り重ねていく「message」シリーズに 絞った展示構想です。 衛生上の問題を不問にする、 オリジナルの額に完全封印された“絵画”群は、 ミニマルな静けさと狂気が表裏一体となり、 独特の美を生み出しています。 消毒を繰り返すことがデフォルトとなった昨今、 『杉林で立ち小便したとき社会から逸脱し、 自然と一体になったような感覚(*)』 が味わえる貴重な空間かもしれません。 *アーティストのメモより (KUNST ARZT 岡本光博) アーティストによる展覧会について Schism"とは分離、分派という意味の単語です。 Toolというバンドの曲名に用いられており、 曲からインスパイアされ展覧会のタイトルにしました。 2022/4 メモ 生きていて演じる様々な自分。 己を押し殺し息を潜めて空間の一部になる時、 むしろその不快感によって引き出される「私」が居る。 自由で開放的だと感じる時、 その一歩先に虚無を発見する「私」が居る。 何かを欲して泣きじゃくるくせに、 手に入ると興味を失う子供のように、 自身の一貫性を保てない。 関係性を紐解き自己らしきものを 俯瞰してみえるのは断片的で引き裂かれた 多数の他人のようだ。 それらを統合しようともがき足掻く様が 私の表現なのかもしれない。 不協和をすり合わせ生じた歪み、はみ出た自我、不快さ。 それが本当の私。 そう考えて安心してしまうことにさえ敗北感がある。 線を明確にしようとすればするほど曖昧に重なり合う境界。 その渦中、自他がオーバーラップし美しさが垣間見えることがある。 杉林で立ち小便したとき社会から逸脱し、 自然と一体になったような感覚。 風や匂いに立ち眩むあの心地良さを 私は逃避のように求めているのだろう。 press release IWASAKA Yuji (b.1994, Shiga pref, lives and works in Kansai) is an artist who has stoically visualized "being alive". The "message" series, which has been ongoing for six years, is a work in which the artist's own urine is applied to Japanese paper like paint. He earned his master's degree in a painting course at Kyoto Seika University. |
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Living message 2022 尿、和紙、パネル Urine, Washi, Panel 410×318×21mm |
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個展「Schism」2022 展示風景 |
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「message」シリーズ専用制作小屋 |
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個展「through me」2020 展示風景 |
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須臾再顕 2019 5000×2000 mm 和紙に絵の具を撒き、できた飛沫を切り抜きます。 絵の具が紙にぶつかり形を成すまでは僅かな間ですが、 それらを長い時間をかけて手作業で行います。 その結果、紙にとっては 一度得た情報を失う空虚な作業ですが、 イメージとしては二次的に顕れ人の手による 時間の集積のみが可視化されます。 |
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アーティスト・ステートメント メディアの進歩した現代社会。 発展の裏で忘却され、もはやライトモチーフでしか なくなってしまった生の根本問題。 このまさに「今」肉体を有し空間を押しのけて存在している 私たちの生きる態度とはどのようなものでしょうか。 産み落とされた記憶もないまま身体を操り、 切れ切れの自己を理性で刹那的につなぎとめる私たち。 自己というものを身体を通して規定しようとすると、 これほどまでに小さく孤独な存在なのかという 漠然とした不安、焦燥感を感じます。 それを放棄することは容易く代わりに他者との交わりの中で アイデンティティーを紡ぎます。 また同時に静かに自己に眼差しを向け、 耳鳴りも聞こえないほど意識の奥深くで 「私」の所在を確かめることも必要でしょう。 しかし、そのような内省は通常それほど長くは続きません。 その為、何か行為を、今を記述しなくてはならないという 強迫観念から制作を行います。 時間、空間、身体、他者、など様々な視点から コンテクストを作り上げ作品を制作しています。 そのどれもが一貫して「生きている今」についての考えを 実践的に深めていくことを目指します。 |
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経歴 1994 滋賀県出身 2019 京都精華大学洋画コース卒業 在学時に二度の休学中に3ヶ月のスペイン滞在や 実践的な農業研修を経験 個展 2020 through me (KUNST ARZT) 2019 排すれば生ずる(ギャラリー風の門) グループ展 2020 ドローイング祭り(京都精華大学春秋館) 2019 “dwell”(室町シュトラッセ/福岡) 2018 in and out(京都精華大学7-23ギャラリー) |
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眠りの柱 2016 1000×2000×2400 mm 高さ2400mm ギロチンとベッドを組み合わせたこの作品は、 自らの喉元に刃先を突きつけて 「今生きていること」をより実感することを目的としました。 生きることは無数の選択に支えられています。 その状況を強烈に作りだす装置として制作しました。 |
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