VvK22
天牛美矢子キュレーション
TENGYU Miyako curation

呪と祝
Curse and festivities

2018年8月25日(土)から9月2日(日) 12:00-18:00 月曜日休み


久保ガエタン KUBO Gaetan
久保木要 KUBOKI Kaname
天牛美矢子 TENGYU Miyako
西太志 NISHI Taishi


KUNST ARZTでは、VvK(アーティストキュレーション)
の22回目として、天牛美矢子キュレーションによる
「呪と祝」展を開催します。
天牛美矢子は、我々が認識し得ない日常/現実の
向こう側に広がる世界を感じさせてくれるアーティストです。
自身の深層心理を探るかのように、時間をかけて生み
出される作品群は、豊かな物語性を内包しています。
“呪と祝”というモチーフをテーマに、久保ガエタン、
久保木要、西太志という気鋭の若い3人のアーティスト
を加え、「呪と祝」の境界線を、粟田口で探ります(*)。
(岡本光博 KUNST ARZT)

*ギャラリーの所在地である粟田口は、
古来、京都の外と内とを繋ぐ出入口の一つであり
(京の七口)、また刀鍛冶が多く居住した場
(妖怪の力を借りて生み出したという名刀の伝説もある)
としても知られている。




「呪と祝」ステートメント

「呪う」と「祝う」。
人の思いに端を発するこれらの願望は、
一見両極端に見えつつも、思いのエネルギーを
もって対象に作用することを指向する点で、
同一のものと言える。
いかに作用してほしいか、という願いも相対的なもので、
誰かへの祝福は誰かには呪いになるかもしれず、
逆も言えるだろう。
「思い」を形にするためには「思う」だけでは十分ではない。
人は「思い」を言葉に乗せて「呪い/祝い」、
それでもまだ十分でなければ、自身を超えた
力を借りて「呪う/祝う」。
人を超える力を召喚するために生み出された
手続き「まじない」は、人の心に深く根を下ろし、
いつしか「呪い/祝い」と「まじない」は
不可分なものとなっていった。
文明と共に夜が明るくなり、人を超えた力への
畏敬も薄れかけた現代においても人の心から
「呪い/祝い」が消えることはない。
脈々と受け継がれてきたその技法「まじない」
もまた、超越的な力へのアプローチという
内実こそ忘れ去られつつあるものの
慣習と化することでその命脈を保ち続けた。
日々の暮らしの中で何気なく験を担ぎ、
願を掛ける時、人は我知らず「人を超えた力」に
祈りを捧げている。
「呪う/祝う」という思いを引き金として「まじない」
を行う時、それがいかに形骸化された仕草の
ようなものであっても、人はその「儀式」を通じて
世界に内在する超越的な力に接近していると言える。
今回、本展のために集った作家たちもまた、
そのような計り知れないものに対して、
異なったアプローチで触れようと制作を続けている。
目には見えず、触れることもできず、
五感では知覚のかなわない、しかし人が頼り、
畏れずにはいられない、強大な力を持つなにか。
彼らの作品を通して、そんな世界の秘密の部分に
少し近づけるのではないかと思う。

本展キュレーション、出品作家
天牛美矢子



@関連イベント
アーティストトーク
×ナビゲーター:奥脇嵩大(青森県立美術館学芸員)
2018年8月25日(土)18:30から20:00
場所: 岡田萬治金箔加工美術








久保 ガエタン
KUBO Gaetan

「意識の境界」
2018
ウォールドローイング
CIA が公開したテレパシーの実験(図案< 左> とその答え< 右>) を元にした、
鉛の棒(" 鉛筆") によるドローイング

「僕の体が僕の実験室です。あるいはそれを地球偶然管理局と呼ぶ。」
2017 
HD 映像(5:40)

「その生き物は全ての生き物の中で最も姿を変える」
2017
HD 映像(7:00)

1988年 東京生まれ
2013年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程
先端芸術表現専攻修了
京都市芸術文化特別奨励者

2017年 「キオクのかたち/キロクのかたち」 横浜市民ギャラリー
2017年 「genius loci」WONDER/LIEBERT(PARIS/BAGNOLET)
2017年 個展「僕の体が僕の実験室です。
あるいはそれを地球偶然管理局と呼ぶ。」 児玉画廊




久保 ガエタン
「無鉄砲」
2016
日本軍の薬莢を溶かして作った五十銭・五十銭を溶かしてつくった薬莢



久保 ガエタン
「おまもり」
2018
パナウェーブ研究所が「対スカラー波」としたマークを
元にした回路( 真鍮とはんだ製)







久保木 要
KUBOKI Kaname


「THE BEACON.1」
2018
陶土 手びねり

1990年 京都府生まれ
2017年 京都精華大学大学院芸術研究科修士課程
陶芸領域修了

2017 インターページ2 (2人展/kara-s)
2017 個展「THE NOU」 KUNST ARZT
2018 「京都府新鋭選抜展」 京都文化博物館




久保木 要
「CHARM1」
2018
 アクリル



久保木 要
「be B」
2018
アクリル








天牛 美矢子
TENGYU Miyako


「Cetus」
2017
綿布、綿、アクリルガッシュ、縫製、布にペイント


1989年 大阪生まれ
2015年 京都市立芸術大学美術研究科修士課程
工芸専攻 染織 修了
2017年「野生児の祝祭」ギャラリー16
2017年「将来を期待される若手染織作家展」染・清流館
2017年「京都新鋭選抜展 」京都文化博物館




天牛 美矢子
「戦争の本による習作」
2018
古書、ペーパービーズ




天牛 美矢子
「邪視除け / 愚者の面」
2018
羊の毛皮、軍服のボタン、綿にアクリルガッシュ







西 太志
NISHI Taishi

「King's Bed」(王のベッド)
2018
キャンバスに水性アルキド樹脂、油絵具、木炭、顔料

1983年 大阪生まれ
2015年 京都市立芸術大学 大学院美術研究科修士課程
絵画専攻 油画 修了

2017-2018年 「居心地の良さの棘」
8/ART GALLERY Tomio Koyama Gallery
2017年 「京芸 transmit program 2017」
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
2017年  個展「指揮者:CONDUCTOR」GALLERY ZERO






西 太志
「Mask series -Brown cat-」(仮面 - 茶猫-)
2018
陶土、磁土、羊毛、釉薬、顔料



西 太志
「untitled (無題)」
2018
紙、アルキド樹脂塗料、木炭