VvK Programm 14
TANIZAWA Sawako curation

無名
unnamed

谷澤紗和子(美術作家)×藤野可織(小説家)

2015年10月23日(金)から11月1日(日)
12:00から18:00 (月曜日休み)



藤野さんの作品が好きだ。
いつもこちらの読みをするりとかわし、すとん、と、
彼女が丁寧にしつらえた穴に落とされてしまう。
幸いにも、名の無い私の創作物をテーマに、
1つ短編を書いて頂けることになった。
名前の無いものたちは、
どのようなおしゃべりを始めるだろうのか。
次の穴に突き落とされるのが待ち遠しい。

谷澤 紗和子



KUNST ARZT では、
谷澤紗和子キュレーションの展覧会として、
谷澤紗和子さんと第149回芥川賞作家でもある
藤野可織さんとのコラボレーション展を開催します。
視覚芸術と小説という異ジャンルの精鋭二人であり、
どのような展覧会になるのかは全く想像がつきません。
ただ、藤野可織さんには、
大学院で美学美術史を研究していた経験があり、
谷澤紗和子さんのスピリチュアルな感性を
刺激する作品との融合は、
間違いなく斬新な領域に
鑑賞者を連れて行ってくれると思います。
ご注目頂ければ幸いです。(KUNSTARZT 岡本光博)




谷澤紗和子

美術作家
1982年大阪市生まれ。
京都市立芸術大学大学院修士課程修了。

「想像 / 妄想力の解放」をテーマに作品を制作。
世界をささやかに, かつラディカルに更新することを試みる。

主な個展に
2014年よすがのもり(森林食堂 / 京都),
主なグループ展に
2015年 The Ghost in You ? 天国と地獄との結婚(art space ARE
《 KYOTOART HOSTEL kumagusuku内》 / 京都),
2015年「化け物」展(青森県立美術館 / 青森),
2014年六甲ミーツ・アート芸術散歩2014
(六甲山高山植物園 / 兵庫), などがある。




藤野可織

小説家
1980年京都市生まれ。
同志社大学大学院美学および芸術学専攻博士課程前期修了。

現実と非現実が交差したフェティッシュな物語は,
現代のホラーとも受け取れる, 奇妙な感覚を呼び覚ます。
2006年「いやしい鳥」で第103回文學界新人賞,
2013年「爪と目」で第149回芥川龍之介賞,
2014年『おはなしして子ちゃん』で第2回フラウ文芸大賞受賞。
著書に『パトロネ』『ファイナルガール』などがある。



藤野さんの小説はとても写真的だと思う。
登場人物の背景には虚実を越えた世界がうつり込み、
時に前景化さえする。その時々がとても良い。
今回藤野さんの小説世界と、
谷澤さんの《無名》という「個」をもつ作品群が対峙する。
両者の間に横たわるのはある種の不鮮明さであり、
来るはいつも分かり合えない私たちの「個」を変容させる、
痛みにも似た鮮烈な瞬間だろう。
       
奥脇嵩大 (青森県立美術館学芸員)