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本展覧会は”Disney”等の商標権を有する
ディズニー エンタープライゼズ インク及び
関連法人とは一切関係ありません。




VvK Programm 12
OKAMOTO Mitsuhiro curation
Desney Art

ディズニー美術

2015年4月28日(火)から5月10日(日)
12:00から19:00 (月曜日休み、5月9日、10日 18:00まで)



入江早耶 IRIE Saya
岡本光博 OKAMOTO Mitsuhiro
ピルビ・タカラ Pilvi Takala
高須健市 TAKASU Kenichi
福田美蘭 FUKUDA Miran

text
作田知樹 SAKUTA Tomoki





会期終了後に作田さんによる冊子を発行します。




ディズニー美術トーク
2015年5月9日(土)19:00から21:00ぐらい
場所:HAPS (京都市東山区大和大路通五条上る山崎町339)
参加費:無料
ディズニー美術展関係者による小プレゼンと参加者を交えての勉強会的な催し。

<プレゼン>
作田知樹さん(国際交流基金、Arts and Law設立者、当展テキスト担当)
岡本光博(本展企画出品者、KUNSTARZT主宰)
入江早耶さん(当展出品者)
高須健市さん(当展出品者)
家本真実さん(摂南大学法学部准教授)
大久保美紀さん(パリ第8大学非常勤講師)





展覧会について

「ディズニー」をテーマにした展覧会です。
ディズニー社は、世界一のエンターテインメント企業であると同時に、
米国の著作権延長法が「ミッキーマウス延命法」と揶揄されるように、
著作権管理の厳しさでも世界一かもしれません。
しかも、今やピクサー(カーズほか)のみならず、
マーベル(スパイダーマンほか)、ルーカスフィルム(スターウォーズほか)も
傘下に収め、ディズニー以外のキャラクターもディズニー社が
その権利を持つという状況になっています。
そのディズニー社が一方的に送り続けるイメージを、我々は受け取り、
脳裏に焼き付けられ、消費し続けることしかできないのでしょうか?
いや、アートは唯一、社会に“イメージ”を突き返すことのできるものです。
しかも、ユーモアや思いもよらない視点のおまけ付きです。
本展にディズニー社を批判する意図はありません。
アートの力を試す場であると考えています。

岡本光博 (本展企画者/美術家/KUNSTARZT主宰)






入江早耶 IRIE Saya

《ディズニーダスト》
2015年
消しゴムのカス、絵本





岡本光博 OKAMOTO Mitsuhiro

Suhama / Recycling kills the copyright
2014-
リサイクル品(ミッキーマウス、ミニーマウス人形)、がま口



Mickey humanoid
2015
90 cm diameter
ミッキーマウス、ミニーマウス人形部分






高須 健市 TAKASU Kenichi 


ミッキーマウス(正確な表記は180度回転します)
2015
商標登録に関する書類、モーター、インクジェットプリント
15万円






福田美蘭

誰ヶ袖図
2015
パネルにアクリル絵具


ぬりえ
2015
紙にトナー、クレヨン






撮影:澤田華







ピルビ・タカラ Pilvi Takala

Real Snow White
2009
Video,HD, 9'15




"Real Snow White":ピルビ・タカラへの8つの問い

1. パフォーマンス作品 "Real Snow White"
(ホンモノの白雪姫)はどのように着想されたのですか?

ーー私は、消費空間における私たちの行動パターンや、
それが異なる消費の空間においてはどう変化するのかについて、
関心がありました。
以前、ショッピングモールについての作品を創ったこともあり、
パリに行った時、ディズニーランドを調査しなきゃ、と思ったんです。
ディズニーランドは、対価を支払ったヴィジターの熱い期待に満たされ、
高度にコントロールされた場所ですから。
人々の振る舞いと一連の馬鹿げたルールを
明るみに出すための方法を見つけようと思いました。


2. どうして他の世界中のディズニーランドではなく、
フランスのディズニーランド(ユーロ・ディズニー)を選んだのですか。
自治的性格やルールへの柔軟性などの特徴があるのでしょうか? 
また、今後、たとえば "Real Snow White: Version of Tokyo" など、
他の場所でパフォーマンスする予定はありますか?

ーーパフォーマンスをしたのが偶然パリだったというだけです。
他のディズニーランドに行く機会もありませんでした。
他の国や異なる文化圏で同じ実験をするつもりがあるかどうか、
以前にも似たような質問を受けたことがあります。
それは私にとって、たいして魅力のないことで、
それより次のプロジェクトに進むほうがよかった。
私はこの作品で、文化的差異を明るみに出そうとしたのではないし、
こういった場所で働くフランス人のことを
とりわけ語ろうと思ったわけではないのです。
もちろんこの作品で文化的なことに着目はできます。
でもそれなら、他にももっと面白い事例があるかな、と。


3. パフォーマンスを実現する前から、
あのコスチュームでのパークへの入場は断られるだろうな、
と確信していましたか?
それとも、一種、チャレンジのようなものだったのでしょうか?

ーーもちろん、そのままは入れないだろうと知っていましたよ。
その場所がどれほどコントロールされているか知っていましたから。
でも、実際そんなことをやってみた人がいた
という話は聞いたことがなかった。
ティーンカーベルの衣装で入場拒否された少女のニュース(*1)や
他のたくさんの事例はもっと後のことです。
それに、私自身も知らなかっただけで、
おそらく世界で最初の挑戦者じゃなかったと思いますが、
とにかく創った当時は、そんな話は聞いたことありませんでしたね。


4. これまで、この作品をサイトで公開したり、
展覧会で "Real Snow White"を発表したりするときに、
有名な「ディズニー著作権」にかんして、
何らかの問題に出会ったことはありますか?

ーーありません。


5. 個人的なコメントなんですけど、
私はピルビさんの作品のなかで効果的に浮き彫りにされる
事実:「ディズニーのスローガンである〈Dreams come true.〉というのは、
ディズニーよってでっち上げられた夢のみに有効なのだ」
という視点に関心があります。
なぜなら、これは、世界中の多くのテーマパークの本質であるし、
彼らの商業的戦略の本質でもあるからです。
だからこそ、ディズニーはこれまで多くのアーティストたちによって、
シニカルかつ過激な方法で、批判の刃を受けている。
あなたは、こういった「ブランド」のビジネスストラテジーについて、
どのような考えを持っていますか。
ブランドパワーや今日の状況における
アーティストのミッションをどう考えますか。

ーーアートは、我々が現在おかれた状況について、
ある共通言語を通じて語ることを可能にしてくれます。
その共通言語は上手くいけば、
私たちが無意識である思考にまで到達するものであって、
私たちが新しい方法で物事を
理解するために役立ってくれるものです。
私は言うまでもなくディズニーのファンじゃないし、
大手をふるう大企業には大概、かなり批判的な姿勢をとっています。
でも、それらが私たちの振る舞いにどんな影響を及ぼすかはとても興味深い。
あらゆる「変革」は、現状への気づきからスタートします。
そして、この気づきこそまさに、
アートが私たちの視野をクリアーにしてくれるという意味だと思うのです。


6. あなたの作品では、
消費社会やマネーパワーが重要な役割を担っています。
あなたにとって、アートもまたエコノミーの内部にあるもの
に過ぎないのでしょうか、
それとも、エコノミー・システムを越えうる存在なのしょうか?
アートとマネーに関するあなたの考えを教えてください。

ーー私にとって、アートはコミュニケーション・ツールです。
私たちがどうやって一緒に生きて行くか、
話し合うことを可能にしてくれます。
もちろん私もアート市場に結びつけられています、
途方もなく巨大な資本主義構造です。
でも、私が行なっているアートは
この市場の境界線にあると思うのです、
参加しているけど、傍観者でもあるというか。
マネーそれ自体が面白いコンセプトで、
アートはそれを語る道具です。
私の収入のほぼ全てが、フィンランドの人々が収めた税金や
芸術科学をサポートするために設立された財団からの支払われている。
私の作品を買ってくれる美術館すらも、
だいたいはパブリックな資金によって成り立っているものですよね。


7. あなたは自分のことを「好戦的な(militant)」アーティストだと思いますか?

ーーいいえ。

8. 本『ディズニー美術』展企画者である岡本光博氏は、
(私が思うに)日本で最も「好戦的な」アーティストの一人です。
彼がこの展覧会を企画した背景には、
「強大な企業やブランドに支配された消費社会を生きる私たちが、
単に搾取されるばかりでなく、
社会に向かってボールを打ち返すためにオルタナティブな生き方のアイディアは、
アートを通じてもたらすことができる」という信念があると思います。
展覧会「ディズニー美術」のコンセプトや
彼のステートメントについて、どう思いますか。

ーーオルタナティブを提案し続けること、
消費社会に疑問を投げかけ続けることは大事です。
境界線を揺るがし続け、グレーゾーンを明るみにだしていくことは、
とても大事ですから。


ありがとう。



*1)2012年、ボーイフレンドを喜ばせるために
ティンカーベルの衣装を着てフロリダ州のディズニーランドを
訪れた15歳のApril Spielmanが入場拒否された事件。
少女はショックのあまり、メディアに向かって
"It just broke my heart"と涙ながらに訴えた。

インタビュー
アーティスト:ピルビ・タカラ
質問者:大久保美紀
2015年4月






「ディズニー美術」が問いかける知的財産制度のあり方

 現在、日本においては、かつてないほど容易に
知的財産を扱うことができる環境が整備され、大いに活用されている。
情報のデジタル化が進み、誰もがパソコンやタブレット、
スマートフォンをもち、いつでもどこでも、
気軽に世界中の情報にアクセスできるようになった。

 そのように気軽に情報を扱うことができるようになると、
忘れがちになるのが、情報や技術といった知的財産が、
他人の精神的活動の所産だということである。
思想や感情、考えや工夫といった目に見えない精神的な作用を、
作品や製品、プログラムなどといった形あるものに
作り上げたものが知的財産であるといえるが、ほんの数十年前までは、
一般的に知的財産に触れた際にできることは、
ただ目の前に置かれた現物を直接見たり聞いたり使ったり、
せいぜい写真に撮ることであった。
たとえば書籍であれば、書店や図書館で
手に取ることで初めてその内容に触れることができた。
その内容を複製しようとすれば、手書きで写本を作成するか、
コピー機を使ってコピーするという作業が必要であった。
ところが現在では、知的財産がデジタル化されることも多く、
書籍であれば電子書籍が多数販売されるようになったことで、
インターネットを通じてそれらを簡単に入手することができるようになった。
そのおかげで私たちは簡単に、
他人の知的財産を利用することができるようになった。
インターネット上にアップロードされている文章であれば、
いわゆるコピー&ペーストをおこなえば簡単に他人の文章を複製できてしまう。

 そこで問題となるのが、知的財産の創出者の権利をどこまで認めるのか、
そしてその知的財産を使用したい第三者にどこまで使用を認めるのか、である。
この世の多くのものは、先人の知的財産の上に成り立っている
というのは既知の事実であるから、
知的財産の創出者に対して敬意を払うべきではあるが、
当該知的財産の権利を永遠に独占させて
他人には一切使用を認めないことにすると、文化や産業の発展はありえない。
しかし、文化や産業の発展のためだとして第三者が安易に
不正に他人の著作物を利用することを許してしまえば、
知的財産の創出者がその知恵を駆使したこと、そして時間と労力、
費用をかけたことをまったく評価しないことになる。
したがって、知的財産法制の最終的な目的は、
知的財産を創出した者がもつ権利と、そうした知的財産を利用して
新たな知的財産を生み出そうとする者の
権利とのバランスをどうとるかということである。
 
 著作権法に関していえば、日本では、著作物の第三者による自由な利用は
ごく限られた場合にのみ許されることになっている。
著作権法は第30条から47条の10において、
テレビで放送された番組を私的視聴の目的で
ハードディスクレコーダーなどに録画したり、
学校や図書館で書籍の一部を複製したり、
報道するために他人の著作物を使用できることなどを認めている。
つまり、これらの規定にあてはまらないようなかたちで
第三者が既存の著作物を使用したい場合には、
必ず著作権者の許可を得る必要があることになる。

 これに対し、アメリカの著作権法には
フェア・ユース(fair use、公正使用)という規定が置かれており、
既存の著作物を第三者が使用する場合に、
その使用が一定の要件を満たしており公正な使用であると認められる場合には、
原則として、著作者に無断で使用しても著作権侵害にはならないとする。
それでも、フェア・ユースかどうかが裁判で争われる事例は多いし、
裁判に至らないまでも、自らの著作物が無断で使用されていれば、
フェア・ユースの範疇であろうと著作権侵害だと著作権者が指摘することもある。
また著名な著作物をもつ大企業が、
自らが著作権から得ている利益を死守しようと、
公的にまた私的に働きかけをおこなうことも多い。
それでも、このフェア・ユース規定のおかげで、
既存の著作物を使用した素晴らしい作品が制作されている。

 アメリカのディズニー社は、ミッキー・マウスをはじめとする、
世界的に人気のあるキャラクターを多数擁していることから、
それらに関する著作権により多大な利益を上げている。
したがって、著名な著作物の創出者として可能な限り、
利益を享受することを目的に、これまでアメリカ著作権法制に
対して様々な働きかけをおこなってきた。
1998年に著作権期間を延長するための
著作権法改正(Copyright Term Extension Act (CTEA) of 1998)が
おこなわれたのも、ディズニー社がロビー活動をおこなった結果で
あることはよく知られており、それまで著作者の死後50年間
(企業が著作権者である場合は75年間)とされていた著作権期間は、
この法律により死後70年間(企業が著作権者である場合は
創作の時から120年間または発行の時から95年間のどちらか短い方)と、
大幅に延長された。
これによりディズニー社は、ミッキー・マウスに関する
著作権を失わずに済むこととなったため、
この著作権法改正は “Mickey Mouse Protection Act
(ミッキー・マウス保護法)” などと呼ばれることもある。

 今回、「ディズニー美術」が取り上げるのは、
言うまでもなく、アメリカのディズニー社のキャラクターや、
ディズニーの世界観をモチーフに使用した美術作品である。
ディズニーがキャラクターや世界観を通して発信するイメージに、
アーティストそれぞれが自らの解釈を加えて作り上げた作品が展示される。
上述の通り、日本では既存の著作物の利用はかなり制限されており、
その範囲外で既存の著作物を利用した新たな著作物を制作する際には、
場合によっては著作権者から著作権侵害だと
主張されるかもしれないと考えずにはいられない。
本展のアーティストたちも少なからず、
ディズニー社から著作権侵害だとの
指摘を受ける可能性があるといった不安を抱えていると推測される。
それでも本展をおこなうのは、やはり、ディズニー社に対する親愛の情と、
日本の文化のさらなる発展のための活動を
地道におこなっていこうという心意気があるからだろう。
ディズニー社も、建前としては何らかの行動を
起こさざるをえないと考える可能性はあるが、
本音としては本展に展示される作品が
同社の著作物やイメージを貶めるとは感じないであろう。

 日本でも、より自由に既存の著作物を
使用できるようにして文化の発展を促進しようと、
アメリカのフェア・ユースと同等の規定を著作権法に導入する方向での検討が、
数年にわたって続けられているが、実現には至っていない。
「ディズニー美術」は、アートを通して、
現在の知的財産のあり方やその法制に一石を投じ、
日本の文化的な活動をより多様性のあるものへと
誘うための先導者的役割を担う美術展である。
本展のアーティストたちが、このように日本の文化のために懸命に
活動をおこなっていることに対し、敬意を表することを禁じ得ない。

家本真実(摂南大学法学部准教授)





協力
家本真実  IEMOTO Mami
大久保美紀 OKUBO Miki


助成
アーツサポート関西




関連記事

毎日新聞 2015年6月12日付 清水友香さん「ディズニー美術」展

北海道新聞 2015年5月26日付 村田真さん「ディズニー美術」展評











Books

ディズニー美術

内容:
テキスト:作田知樹さんによるテキスト
<「夢の国」をささえるもの>
作品図版:入江早耶、岡本光博、
Pilvi Takala、高須健市、福田美蘭
*大久保美紀さんによるPilvi Takalaへのインタビュー

送料込:\ 1080


商品説明

著作権管理に厳しい「ディズニー」をテーマにした
展覧会のコンセプトと記録です。
展覧会は、福田美蘭さんをはじめ、
ほぼ当展の為の新作で構成されました。
美術業界内では
「ディズニーには触れてはならない」
というの噂があります。
この展覧会を通して、それがただの噂であり、
逆にディズニー社は「引用表現」と「商業的盗用」の違いを
判断できる企業であることを証明することとなりました。
またART&LAWのファウンダーでもある作田知樹さんの
当冊子に掲載したテキストは
今後、著作権に関することへ
投げかけるような展覧会企画者には
必須のバイブルであると確信しています。

昨今、ニュース映像では、肖像権に配慮して、
モザイクがかかることが普通の時代になりました。
過剰なほど権利意識が高まり、
著作権問題(TPPを含めた)が大きくクローズアップされ、
表現の幅はどんどん狭まっています。
この「ディズニー美術」展の試みは
小さな抵抗に過ぎないかもしれません。
ただ、この抵抗が今後の表現に
本当の自由を与える何らかのきっけけにでもなれば
幸いに思います。



*当、ミニカタログならびに、展覧会は“Disney”等の商標権を有するディズニーエンタープライゼズインク及び関連法人とは一切関係ありません。


単行本
*当、ミニカタログならびに、
展覧会は“Disney”等の商標権を有する
ディズニーエンタープライゼズインク及び関連法人とは
一切関係ありません。


単行本
幅153mm、縦219mm、厚み14mm
ソフトカバー使用
言語: 日本語、一部英訳あり
1000部限定