山下 裕美子 個展
YAMASHITA Yumiko solo exhibition

Fossil Scene ことばのまえ ことばのあと
Fossil Scene / Before Words, After Words


2026年2月21日(土)-3月1日(日)
12:00-18:00 月休

KUNST ARZT では、
山下裕美子の個展を開催します。
山下裕美子は、紙コップや紙風船など
紙製の日用品を磁器(石)化し、
美と儚さを内包させるアーティストです。
白を基調とした3人展「white noise・white out・
white fixing」(KUNST ARZT 2024)では、
シンボリックに赤が映える、糸電話モチーフの
「noise (2024)」、空気や柔らかさを捉えた
「blank space (2024)」、本からこぼれ落ちた
言葉を集めたような「コトモノモノゴト (2024)」を発表。
それらは、薄い磁器(石)に変換されていることで、
我々が刹那的に壊れやすい世界の住人で
あることを示唆していました。
本展では、メインルームで「石化する言葉 秩序の部屋」、
サブルームでは「ことばのまえ ことばのあと」と題して、
自己が不安定に揺れるような感覚を喚起するような
空間を構成(作家の言葉)する構想です。
(KUNST ARZT 岡本光博)



展覧会コンセプト

紙に磁土(陶石)を塗り、貼り重ねて焼成すると、
紙自体は燃え尽きてしまうにも関わらず、
繊維に染み込んだ泥漿は、
その質感や形態を残したまま磁器(石)化する。
それは紙の記憶を留めた石である。
例えばそこに、話者の減少により、
近い将来には消滅するであろう絶滅危惧言語を
焼き付けてみる。時代の変化の只中で、
周縁化され消えていく言葉。通常、人が
紙を石に換えるのは、墓碑をはじめとする
様々な石碑のように、残すべき価値や意味を
付与されたモニュメントである。
歴史的な出来事や人物、場所の記録、
それらをより強く留めたいと願う時、
媒体は紙から石に変換される。
しかし、紙の厚みほどの石への変換は
堅牢なモニュメントにはなり得ない。
顧みられることのないどこかのだれかの日常は、
矛盾を内包したまま石化する。
石に変換されながらも、弱いままの物体は、
言葉を含む記号がもたらしたもの
(論理、秩序、科学技術など)の脆弱性を象徴している。
今回の展示ではさらに、言葉を得て
手放したものについても考察を広げたい。
紙の記憶を留めた石(磁器)は、
ここにはもうないものに支えられて
今ここに存在している。
潜在と顕在の間で揺れる不確かな存在が、
二元論に陥りがちな現代の思考に、
静かな問いを発する契機となることを願っている。

PRESS RELEASE


YAMASHITA Yumiko (b.1982, Aichi pref,
lives and works in Kyoto) is an artist
who transforms everyday paper items like paper cups
and paper balloons into porcelain (stone),
imbuing them with beauty and transience.
She graduated from at Kyoto University of Education.




Fossil words / Letter
2017
陶芸 磁器
13.0×15.0
手紙には、今も話者が減り続けている
少数民族の言葉を転写した。



アーティストステイトメント

紙や布に磁土の泥漿を塗り、
貼り重ねて形作ったものを焼成すると、
支持体であった紙や布は燃え尽き、
磁器特有の透光性を持った
ごく薄い膜状の作品となる。
物質としての紙や布は焼失している
にも関わらず、そのテクスチャーは
作品の上に残る。それは焼成を経て、
失われることで立ち上がる紙や布の
存在した痕跡、記憶のかたちである。

土という素材から重量というヴォリュームを
可能な限り削ぎ落とすことで、
表層には素材の質感や特性が浮かび上がる。
物体を物質というミニマムな姿に解体していくこと。
素材の要素の均衡を崩し、
ある要素を突出させたものが実存
することは虚像では作り出せない知覚のズレ、
皮膚感覚に体感として伝わるものがあると考えている。
物体そのものではなく、内外の空間や流れる時間を前
景化させることができないかと試行している。



Fossil scene / 紙風船
Fossil scene / Paper balloon
2023
陶芸、磁器、銀箔
13.0×13.0×13.0




石の紙 / Days
Fossil paper / Days
2020
陶芸 、磁器
1.8×8.8×12.0



略歴

1982年 愛媛県生まれ
2004年 京都教育大学造形表現コース 卒業

個展
2015年 くうきの輪郭(+Tart ギャラリー/大阪)
2016年 きおくの輪郭(京都陶磁器会館)
2017年 白図 White Figure(+Tart ギャラリー/大阪)
2018年 fractal(ギャラリーSILVER SHELL/東京)
2019年 石の紙 fossil paper(+Tart ギャラリー/大阪)

グループ展
2008年 京都府美術工芸新鋭展(京都文化博物館)
2015年 琳派 400 年記念新鋭選抜展(京都文化博物館)
2017年 Kyoto Art for Tomorrow(京都文化博物館)
2017年 俳句×美術 2017(入交家住宅、静思館)
2018年 痕跡あるいは不在(gallerygallery/京都)
2019年 俳句×美術 2019(国史跡 崇廣堂/三重)
2024年 White noise White out White fixing (KUNST ARZT)
2025年 Lost and Found(gallery Unfold/京都)




blank space
2024
磁器、糸、木枠
porcelain, thread, wooden frame
10×10×5cm











Collection of
YAMASHITA Yumiko's Works