二宮 さち子 個展
NINOMIYA Sachiko solo exhibition

私の太陽王
Mon Roi Soleil

2023年7月18日(火)から23日(日)
12:00から18:00 

KUNST ARZTでは、初となる
二宮さち子の個展を開催します。
二宮さち子は、少女漫画的線画で
ジェンダーへの関心を表現する銅版画家です。
子どもの頃、少女漫画家に憧れていた二宮は、
少女漫画を「女性作家が自らの表現で自らの
声を表すことができた分野」であると無意識に
捉えていたのかもしれません。
基本的に、ミニマルに簡素化、文様化された
要素で構成されますが、女性らしさである
花飾り、ヘアー、そして特に眼球は誇張という
サイズを超え、執拗なまでに描き込まれます。
その眼球から洪水のように流れ出る涙には、
ジェンダー問題への怒りが込められている様です。
(KUNST ARZT 岡本光博)



PRESS RELEASE



NINOMIYA Sachiko (b.1978, Osaka pref, lives
and works in Kyoto) is a copperplate artist
who expresses her interest in gender through
Shoujo Manga-like line drawings.
She graduated at Kyoto University of the Arts.




個展「私の太陽王」(2023)展示風景




Claire de lune(月光)
2019
銅版画(エッチング、メゾチント)
H360xW360mm(版面)



_アーティスト・ステートメント/展覧会コンセプト

<銅版画> 
約10年前に自主制作をしたいと思い立った時、
同時に技法は銅版画にしようと思っていた。
自分はやはり線画だろう、
そして描く絵も少し気持ち悪いので、
間接技法の方が作品が見やすくなるだろうと
思ったからである。

<「秩序」>
 「秩序」とは権力がそれを使って世の中に
その力を染み渡らせるためのもの、
秩序は制度によって作られ、維持されている。
世にある様々な制度の内、私はジェンダーという
制度に十代の頃からずっと関心があり、
回り回ってこのような絵を描くに至った。

<少女漫画> 
すでに男性主導で文法の成立していた他
の表現分野とは違い、1970年代に開花した
少女漫画表現は、女性作家が自らの表現で
自らの声を表すことができた分野だという批評がある。
四半世紀前、私が少女漫画風の絵で描き始めた時には
その点に無自覚だったが、確かに私は子供の頃
少女漫画家になりたいと思っていた。

<「私の太陽王」> 
フランス生まれの小説家、アナイス・ニン
(1903-1977)による日記文学「インセスト 
アナイス・ニンの愛の日記 無削除版 1932〜1934」の
エピソードより取った。アナイスが11歳の時、
父が妻子を捨てて女性と出奔した。彼女は父に宛てる
手紙の代わりとして日記を書き始め、それは最晩年まで
書き継がれた。二十歳で結婚したその傍ら、
失った「父の愛=男性の愛」を求め、様々な男性との
遍歴を重ねる中、ついに父その人と再会し恋愛関係に陥った。
その時期、彼女は父を「私の太陽王」と呼んだ。
(「太陽王」はルイ14世のあだ名)




Salome(踊り子の報酬)
2020
銅版画(エッチング、メゾチント)
H600xW500mm(版面)
19世紀末の西洋の芸術界で流行った『サロメ』の主題。
『ファム・ファタル』『悪女』という幻想に興味があり選んだ。
モローとビアズリーのイメージを下敷きに翻案した。



経歴

1978 大阪府生まれ
2001 京都造形芸術大学芸術学部デザイン科
情報デザインコース卒業

展覧会
2014 2014京展(京都市美術館)
2015 第11回世界絵画大賞展(東京都美術館)
2016 BIWAKO大賞展(滋賀県立近代美術館)
2017 二人展(京都銅版画協会特別展・
ギャラリーヒルゲート)
2019 個展 ”Reves d’Amour 愛の夢”
(レティシア書房ギャラリー)
2022 第3回丹波アートコンペティション
入賞・入選作品展(丹波市立春日文化ホール)
2023 第46回新芸術展
(東京都美術館・京都市京セラ美術館)




Danseuse aux etoiles(星の踊り子)
2019
銅版画(エッチング、メゾチント)
H255xW222mm(版面)












for the collection of
NINOMIYA Sachiko's works