永戸 萌子 個展
NAGATO Moeko solo exhibition

ローリングストーン
Rolling Stone

2025年3月18日(火)から23日(日)
12:00から18:00 

KUNST ARZTでは、初となる
永戸萌子(旧姓:粟坂)の個展を開催します。
永戸萌子は、身体的に不自由な環境下に
自身を置き、そこで触れて感じたことを
表現するアーティストです。
「FREEDOM(2023)」では、
産卵するウミガメの如く、
地上を平泳ぎするように進み、
「地中の妄想より(2022)」 では、
等間隔に並んだ稲の如く、単管を組み、
その上に板を貼った‘大地’を作り、
その穴から植物と見立てた彫刻作品を
上下に移動させ、
「植える」「育てる」行為を体現しました。
本展では、さまざまな自然環境にある
石の上にバランスをとって静止する映像作品と、
石の上にアンバランスに自立する立体物を
配置する作品構想です。
(KUNST ARZT 岡本光博)



アーティスト・ステートメント

身体ベースで彫刻やインスタレーション、
パフォーマンスを発表。
日常目にしている事象や、繰り返している行為を観察し、
そこに起きている意味や内容についての新しい解釈を、
様々な素材に置き換えることで制作を行う。
身体性を意識した解釈を通して得られる、
軽やかな身体像の表現を探っている。



PRESS RELEASE



NAGATO Moeko (b.1998, Gifu pre., lives and works in Gifu)
is an artist who places herself in physically handicapped environments
and expresses what she touches and feels there.
She earned her master's degree in a sculpture course
at Kyoto city University of the Arts.




FREEDOM
2023
モニター、スピーカー、メディアプレイヤー、木材ほか
W730×H1800×D650
雄大な自然が広がる地上を平泳ぎするように進んでみる。
自由なイメージとは裏腹に、満身の力で身体を地面から引き剥がし、
移動する人間に目が留まる。
私たちにとって真の「自由」とは一体何なのか、
不自由な身体性を通して問いかける。




地中の妄想より
2022
石膏、藁、布、塩化ビニールパイプ、木材他 サイズ可変
実家の前に広がっていた田んぼの風景が、
突然荒地に変わってしまったという自身の
心情を発端に作品を展開する。
私は、稲が等間隔に並んでいるリズム感と
成長の速さに興味を惹かれる。
その目を見張るような稲の成長する勢いを見ると、
誰かが地中の奥底から押し上げているのではないか
という妄想が生まれた。
この妄想を再現するために単管を組み、
その上に板を貼ることでもうひとつの地上と、
板下の空間を地中と新たに設定した。
板には穴を開け、身体を使って植物と見立てた彫刻作品を
上下に移動させることで、植物を
「植える」「育てる」行為として体現する。




世界の中心まで掘ってまったもんで、末端で山の稜線を描いてみた。
2021
透明樹脂、木材 W300xD3000xH950
水彩絵具、画用紙、木材 W205xD100xH160
お尻を使って一本の線を描いてみる。
私がお風呂に入っている時、
ふとお尻で触れたときの感覚が一番鈍く、
遠くにあると感じた。この鈍感なお尻を引きずったときに、
同時に繊細で鋭敏な線が浮かび上がってくる。
あらゆるもの密接に関わることができなくなった今、
“触れる”ことを再認識するきっかけとして作品を制作した。
どのような形であれ私は世界に触れたいと願う、
そして私は世界に対して末端で触れてみる。




幽の寝床
2021
樹脂、塗装、ワイヤーロープ、木、映像 サイズ可変
身を埋めて入れる大きさの穴を掘って型取りした作品を、
階段を降りて見上げてみる。
すると天井には、穴を掘り埋まってゆく映像が淡々と流れる。
鑑賞者は、穴の中の私と対面することになる。
次第に映像の中に映る私の存在が消えていき、
まるで幽体離脱をして鑑賞者自身が、
穴を掘っている感覚におちてゆく。



略歴

1998 岐阜県瑞浪市生まれ。
2019 チェコのプラハ工芸美術大学に交換留学
2020 京都造形芸術大学(現京都芸術大学)
美術工芸学科総合造形コース卒業
2022 京都市立芸術大学大学院彫刻専攻彫刻専攻彫刻卒業
2022 アッセンブリッジ・スタジオ2022(旧・名古屋税関港寮、愛知)

展覧会歴
2023 京都府新鋭選抜展 「FREEDOM」(京都文化博物館、京都)
2021 「半自動手職」(京都芸術大学、京都)
2021 粟坂萌子・中森碧 二人展「エクササイズ」
(Gallery COCOTO、京都) 
2021 「ものとかすひと」(千鳥文化/コーポ北加賀屋、大阪) 
2021 「自我像展」(ギャラリーマロニエ、京都)
2020 「世界の中心まで掘ってまったもんで、
末端で山の稜線を描いてみた。」
(代官山ヒルサイドテラスF棟ヒルサイドフォーラム、東京)
2019  個展「吸って、吐いて、留めて、」 (ギャラリーマロニエ)