稲富春奈個展
存在のあと / Traces of existence
2013年9月24日(火)から29日(日)
12:00から19:00 (最終日17:00まで)






KUNST ARZT では、稲富春奈の個展『存在のあと』を開催します。
稲富春奈は、透明な素材(氷、透明樹脂、ガラスなど)に時間の概念をプラスして、
なんらかの“存在”を顕在化させてきました。
透明樹脂の硬化時間をコントロールすることによって、
雲から雨が降るような造形を生み出した「しずく(2010)」、
カフェで、以前銭湯だった頃の場の記憶を彷彿させるような試みの「流(2011)」。
本展では、これまでの中でも一段とレベルを上げ、
コンセプト/思考とフォルム/造形が美しく結実した
「between (2013)」のKUNST ARZTバージョンをメインに展開します。
等身大のアクリルケースに温度計を封入した
人体水分量と同じ体積の氷をセッティングすることから展覧会はスタートし、
会期中の天候、温度や湿度、そして鑑賞者の体温という要素を反映させながら、
水滴を生み出し、気化し、溶けるという様態を見せていきます。
我々が熱を持つ生き物であることのみならず、
水、空気といった目に見えない存在を改めて感じさせてくれます。
ご注目頂ければ幸いです。 (Kunst Arzt 岡本光博)







アーティスト・ステートメント

私は目に見えないものの存在やその痕跡にいつも心惹かれます。
作品に関してもただ“わたし”の作品ではなく
“鑑賞者であるあなた”と“わたし”の作品を作りたいのです。
それはまるで夫婦のような関係で
元は赤の他人だったものが同じ空間にいることによって
“あなた”と“わたし”のちょうどいい距離を見つける。
実は簡単なことかもしれませんが私にとってそれはとても難しく、
だからこそ、その想いを作品にしたいと考えています。





between

氷の中にオブジェ
2013


ひとの体内水分量とおなじ体積の氷の中に温度計が封入されている。
展示中 氷はとけて水となり空間に少しずつ見えないかたちで還っていく。
とけない温度計だけが天板の上に残る。
それは“あなた”と“わたし”のあいだにたしかに存在していたものである。
(ギャラリーに掲示していたアーティストによるテキスト)





drawing-water-

水・オブラート・シャーレ
2013
植物を育てている。
それは水を与え、朝になると、一枚の葉の先からたった一粒水滴を零す。
水はやがて蒸発し見えないものへと形を変えるがそこに何かの存在していた跡を残す。
これは、存在していたことの証明の変化である。
(ギャラリーに掲示していたアーティストによるテキスト)




drawing-wipe off-


2013


wipe off =ふきとる
窓には土埃や雨のあと、排気ガスといったその場特有の表情が出る。
それらは日々変化しながら時間をかけて降り積もっていく。
そこに残るのは空気の行なったドローイングである。
わたしは、その痕跡を拭き取ることによってこの空間に介入する。
拭き取られた部分には、会期中新たにドローイングが重ねられる。
これは、過ぎていく時間の中で積み重ねられるものである。
(ギャラリーに掲示していたアーティストによるテキスト)




drawing-thermal-

精油・トレーシングペーパー
2013

体温で暖められることによって香りが蘇る作品。
会期中、可能な限りアーティストが鑑賞者に手渡しした。









しずく / drop

透明樹脂・絹糸 / Resin,Silk thread
2010

時は止まることなく流れるように過ぎていく。
過ぎ去った時間は、思い返せばずいぶん尊いもののように思えた。
わたしは樹脂の「流」し「留」めるという行為に時を重ねる。
きらきらとしたものが鑑賞者に降り注ぐ。







流 / ru -flow-

透明樹脂・亀甲紗 / resin,Tulle
2011



留 / ru -hold-

透明樹脂・亀甲紗 / resin,Tulle
2011

かつて銭湯だった場所が、今カフェとして存在している。
以前、水で溢れかえっていただろう空間を思い浮かべながら、その時の記憶を辿る。





経歴


1987 長崎県生まれ
2006 私立長崎日本大学高等学校 デザイン美術科 卒業
2010 京都嵯峨芸術大学 芸術学部造形学科彫刻分野 卒業
2013 京都造形芸術大学大学院 修士課程
      芸術研究科芸術表現専攻総合造形領域 修了



2005  “ 高校Q児 - Questionから、始まる、生まれる- ”【長崎県美術館】
2008 BOX美術館展7 “touch・a・ble” - 触れる -【GALLERYはねうさぎ】
2009 one room09 - -【京都嵯峨芸術大学BOX】
    Art Camp 2009【ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪】
2010 京都嵯峨芸術大学卒業・修了制作展【京都市美術館】卒業生特別賞受賞
    稲富春奈展 - Haruna Inatomi Exhibition - 個展【ギャラリー恵風 】
    第6回 美術学生展 in NY 2010【Ise Cultural Foundation / NY】
    the opposite lane -対向車線-【art project room ARTZONE 】
2011 SPURT 2011 京都造形芸術大学大学院展【GalerieAube】
    脈【Gallery PARC / 京都】
    shift【GALLERY 門馬 / 札幌】
    bathhouse【Cafe Style Resort SAGANOYU / 京都】
2013 2012年度 京都造形芸術大学大学院 修了展【京都造形芸術大学】





みなも / water surface

アクリル・透明シート・鉄 / Acrylic sheet,Transparent sheet,Iron bar
2008


空間に引き上げられた水面は空にとけるように存在し、光と風とひとつになる。











drawing-water-
2013
水・オブラート・シャーレ
¥10,000

観葉植物の葉先から滴る
1日1滴の雫の痕跡